労働組合をつくるには
労働組合づくりは決して難しくありません。
労働組合は労働者が自主的に団結して結成すれば、いつでもどこでも自由につくれます。「結成大会」を開催し、(1)「組合規約」(2)「活動方針」(3)「予算」(4)「役員体制」を決定すれば、労働組合法で守られる労働組合です。
連合滋賀にご相談いただきますと一緒に組合づくりをお手伝いいたします。
労働組合の条件(労働組合法第2条)
- 労働者が主体となって組織すること
- 労働者の自主的な団体であること
- 主な目的は労働条件の維持改善であること
※使用者の利益を代表するものの参加および使用者から経費援助を受けているものは労働組合とみなしません。
労働組合づくりの流れ
- 1.従業員の分析と加入活動
- 2.会社側の分析
- 3.要求事項の整理
- 4.不当労働行為の学習会
- 5.結成大会
労働組合は2人からつくれますが、会社側との交渉は力関係で決まりますから、初めから少人数の組合にするのではなく、従業員の過半数を組織する組合をめざします。加入活動は原則として就業時間中は避け、信頼できる人から順番に、休憩時間や仕事帰りなどの1対1の雑談の中できっかけをつくっていきましょう。
会社側の分析や情報収集も必要です。社長の性格、取締役や管理職の力関係、派閥、外部の人脈、顧問弁護士、メインバンク、主な株主、財務状況などの情報を出し合います。また連合のネットワークを活用して情報を集めることも可能です。
要求事項は、結成時における「組合のめざす方向」であり、加入活動において、従業員から「組合が自分たちの思いを代弁してくれている」と評価されるものでなければいけません。また、経営側に対して組合結成の趣旨を示す上でも、要求事項の整理は重要です。まず現状の問題点と、その原因を考え、「どこを改善すれば今よりも良くなるのか」をメンバー全員で話し合い、整理していきます。
もし会社側が労働組合づくりを邪魔しようとしたら、それは「不当労働行為」という立派な違法行為です。まずは事実関係を正確に記録しておきます。そして執行部、上部団体のオルガナイザーとの連携を十分にとって、毅然とした態度で対応することが重要です。
結成準備会で話し合った1~4の内容を反映した「議案書」「結成趣意書」を作成します。
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結成大会は新たな組合が誕生する瞬間です。その場にいる人たちの気持ちが一つにまとまるよう、元気なスタートを切りましょう。
- 1.組合規約(1号議案)
- 2.活動方針(2号議案)
- 3.予算(3号議案)
- 4.役員体制(4号議案)
「組合規約」は組合活動のルールです。以下の事項が入ります。
(1)名称 (2)所在地 (3)組合員の平等・無差別 (4)役員選挙 (5)定期大会 (6)会計報告 (7)ストライキ (8)規約改正 (9)上部団体への加盟 (10)組合員の範囲 など |
「活動方針」は基本的には次の3点です。
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(1) 組合の要求を実現していくこと
(2) 組合員を増やし組織を拡大していくこと
(3) 良好な労使関係を築くよう努力していくこと
※ (1)は準備会で整理してきた要求事項であり、その組合独自の内容になります。
組合活動に必要な資金は、組合費のみで賄わなくてはなりません。設定金額が低すぎると、後で運営が立ち行かなくなるので、よく検討してください。
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【主な支出】
会議などで集まる際の交通費、会場費 / 切手、電話料金などの通信費 / 必要書類の印刷・コピー代など
役員体制は組合規約で定めている以下の役員を決めます。
執行委員長(1名) | 副執行委員長(若干名) |
書記長(1名) | 執行委員(若干名) |
会計(1名) | 会計監査(1名) |
結成通告時に氏名を明らかにするのは、委員長・副委員長、書記長の三役だけでも構いません。
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結成大会の後、会社に対して、「結成通告」と「団体交渉の申入れ」を行います。
結成通告は、この日を境に、会社側にも全従業員にも「公然化」する重要な瞬間。通告の直後、会社側の体制が整う前に、一気に組合員を増やすことを視野に入れ、「公然」とした加入活動に入る準備を事前に整えておきましょう。従業員に組合ができたことを知らせる『組合ニュース第1号』を事前に印刷し、通告と同時に配布しましょう。
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団体交渉は、「対等で良好な労使関係を築く場」であり、「現場の実態を会社側に伝える場」です。無用な争いはせず、あくまでも紳士的な態度で主張すべき点は堂々と主張していきましょう。
とくに結成したばかりは会社側もすぐには組合の要求に応じてくれません。しかし、焦らず粘り強く交渉をくり返していきます。
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会社と合意したことは「労働協約」として、労使双方が署名・捺印します。
労使の約束ごとである「労働協約」は、会社側が従業員代表の意見を聞くだけでいいという「就業規則」よりも、効力は上。当面は「暫定労働協約」の締結をめざし、労使関係が安定した後は、「チェックオフ協定」(組合費の給与天引き)や「ユニオンショップ協定※」などを締結していきましょう。
※会社が労働者を雇用する場合、採用された労働者は必ず労働組合に加入しなければならず、もし、組合に加入しなかったり、組合を脱退または除名された者については、会社はその労働者を解雇しなければならないとする協定。
―「不当労働行為」への対応―
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組合をつくった直後、経営者の中には、組合の必要性を理解せず、妨害行為などをしてくるケースもあります。これは「不当労働行為」といって違法です。労働組合の権利は憲法で保障されており、組合側の結束が固ければ、必ず乗り越えられ、健全な労使関係を築くことができます。
- 1.不利益取扱い(1号)
- 2.団体交渉拒否(2号)
- 3.支配・介入(3号)
- 4.報復的不利益取扱い(4号)
例えば次のような行為は、労働組合法第7条で禁止する「不当労働行為」に該当します。
労働者が(1)労働組合の組合員であること (2)労働組合に加入しようとしたこと (3)労働組合を結成しようとしたこと (4)労働組合の正当な行為をしたこと、を理由に、労働者に対して、会社側が(1)解雇・懲戒解雇 (2)配置転換 (3)賃金・昇進等の差別 (4)嫌がらせ(5)組合員と非組合員を差別することが該当します。
会社側が、労働組合と団体交渉することを正当な理由もなく拒否すること。「上部団体が出席する団体交渉には応じられない」ということもできません。また、会社側には、「団体交渉に誠実に応じなくてはならない」という義務があります。
会社側が、労働組合の結成や運営に支配・介入することはできません。具体的には、従業員を個別に呼んで、「組合になんか入るなよ」「脱退しないか」などと加入を妨害したり、「君も労働組合に入っているのか」「何人くらい組合に入っているのか」と事情聴取することもできません。
労働者が(1)不当労働行為の申立てをしたこと (2)労働委員会に証拠を提示したり発言したことを理由に、会社側が、その労働者を解雇したり不利益な取扱いをすることが該当します。
労働委員会に
救済申立てをしましょう
会社側の不当労働行為に対抗する有効な手段として、都道府県にある労働委員会への「不当労働行為救済申立て」があります。その際、事実関係の記録が役に立ちます。労働委員会に救済申立てを行う目的は、「健全な労使関係を築くこと」です。労使の主張が対立したままで、「調査」から「審問」にすすみ「救済命令」が出されることもありますが、基本的に組合側は「調査」の段階で双方が歩み寄り、今後の労使関係づくりを確認した上で「和解」することをめざします。
労働委員会とは…
会社側の言動が不当労働行為かどうかを判定し、「健全な労使関係づくり」をうながします。公益委員・労働側委員・使用者側委員の三者構成になっており、労働側委員には連合の各構成組織から委員が選ばれています。
連合滋賀がバックアップします
連合滋賀、連合滋賀を構成する構成組織に加盟すると、団体交渉への同席、組合運営への助言・指導など、あなたの組合を強力に支援する体制がつくれます。会社側にとっては、組合のバックに大きな組織がついていることが無言の圧力となり、不当労働行為を未然に防ぐ役割も果たします。もしも不当労働行為がおきた場合でも全面的にバックアップします。